• 冬太郎 Fuyutaro

Wrench Monkees レンチモンキース


http://www.wrenchmonkees.com/

今日は海外のバイクビルダーを紹介させてもらいたいと思う。

デンマークのコペンハーゲンにある「Wrench Monkees(レンチモンキース)」だ。

先日のブログで取り上げさせてもらった1台を作成したビルダーだ。

これが紹介をさせていただいたバイクだがこちらからこれまで製作をしてきた車両の多くを見ていただける。

さらに今日は『ABOUT』ページの内容から彼らがどのような思いで製作を行っているかをお伝えさせてもらいたいと思う。

まずはビルダーの二人を紹介しよう。

彼らのガレージは1998年に設立をされて、『Wrench monkees』と名乗り始めたのは2008年からである。

彼らは作品であるバイクを『monkees』と呼んでいる。

日本車、ヨーロッパ車、アメリカ車を好んで用いその時々のバイクカスタムシーンには影響をされないバイクをリデザインし製作することをモットーとしており、独特の世界観をバイクで表現をしている。どんなビルダーであっても独自の世界観を大切にしていると思うがレンチモンキースは特に世界観という物を大事にしているように思える。

今回この記事の元になっているのはCRAFTRADというベルリンに拠点を置くモーターカルチャーマガジンによるインタビュー記事である。

読んでみて強く感じたことは、国民性というかデンマーク人としてのアイデンティティを強く感じたということだった。彼らは何物でもなく彼ら自身であることを大切にしている。

インタビュー冒頭でデンマークの映像制作ムーブメントに言及があるが、要約をするとシンプルであることそして自己主張をしないことを大切にしている。そういった信念のもとに製作をされたマシンはシンプルなラインの中に力強いオーラを纏い世界中にファンを増やしている。

スカンジナビアンデザインの特徴であるミニマリズムを追求し、シンプルであるがゆえに車両全体を一つの作品としたデザインを成立させている。

言葉にすれば簡単な表現かもしれないが、シンプルであるということはまやかしがきかないということである。一つ一つのパーツを見てみても彼らが大切に思っている事が感じることができ説得力が増している。

インタビュー中に他のビルダーとはいかに違った車両を作ることにプレッシャーがあるか?という質問を投げかけているが、二人の答えはもちろん『ノー』である。

彼ら自身は他のビルダーに敬意を表しつつもよいビルダーについてこう定義づけている『いいビルダーはそのキャラクターをマシンに投影している』と言うように。

世の中には多くのビルダーたちがいて一生懸命シーンの真ん中に出ることを望んでいるが、『彼らに自分を信じて一本芯の通ったものが心の中にあって、何をしているかを理解していなければいつまでも模倣者で終わるだろうね。』とも言っている。冷静に自分たちの進むべきを方向を見定めて、そこからぶれずに進んでいることが感じられる。そしてあくまでシーンのリーダーとなることが目的ではなくて彼ら自身の求めるものに正直だという風に言っている。

次にインタビューでは彼ら自身がどう自分たちを評価しているかを尋ねている。

彼らはこう答えている。『ある意味僕らは本当のデンマーク人で、目立つことは目的とはしていない』

デンマーク家具を引き合いに出しこう言っている。

『例えば椅子、椅子は椅子であるべきだし調度品じゃないよね。座って座りやすい事が大事。座って、静かに食事をし50年先の最後の時まで素敵な形じゃないとね。僕らのバイクもアパレルラインもそうあるべきだと考えている。』

― Nicholas Bech

そういった一貫性と信頼性という物を大事にすることが彼らの世界観だ。変化は起こそうとしているがそれはとても小さなステップだと言っている。

『僕らは横道を進んでいるのかもしれない。だけど考えていることはいつも一緒なんだ。僕らはこれまでよりも一層モノトーンになっていると思う。それは伝えたい事がある。というよりも、僕らが僕らである証明なんだ。それが居心地がいいんだよね。何も黒やマットブラックである必要はないけど、僕らは微妙なニュアンスを表現するのが好きなんだ。ぼくらはバイク全体を見ているし、一つの要素だけに限定はしたくないんだ。タイムレスなものを作りたい』

― Per Nielsen

彼らのスタンスとして新たなスタイルをひねり出すことではなく潜在的なアイディアをさらに改善をしていくことで、シンプルで明確なラインを持ったマシンを創造してる。彼らは問題解決をしていくことには自信があるようだ。インタビュー中にはこのようにも語っている。

『かつてのバイクたちがすべてベストだったわけではないことは知っている。あれは鉄の塊っぽい感じがしてた。最初のバージョンのゴリラパンチは僕らをシーンに押し出してくれて写真写りはすごく良かったけど、走らせてみるとそりゃークソだった。ハンドリングは最悪だし、エンジンは回らない、電装系は使い物にならない。ショップをオープンしてから2年後に製作したバイクだったけど、当時はお金がなかった。それまでは3000ユーロの仕事をしていた。僕らのクライアントが博物館で僕らは代表作を作りたかった。だから12000ユーロをプロジェクトにつぎ込んだ。そしたら僕らのパーツディーラーがスポンサーについてくれた。彼らはフレーム、エンジンとスタッフを提供してくれたよ。クライアントに車両を引き渡す前に僕らは完全に車両をリビルドしないといけなかった。』

― Per Nielsen

デンマークアート&デザイン博物館に所蔵された代表作『monkee11』

http://www.wrenchmonkees.com/bikes/monkee-11

最初からすべてが順風満帆ではなかったようだ。生きていくために車両は製作はしなければいけないが改善すべきことが多くあると感じていたようだ。それでも現在では彼らの製作車両がシーンに対して大きな影響力を持っていることは間違いないだろう。理想と現実の狭間でストレスを抱えながらも、自分たちのスタイルを貫き続けてきている。

そして、こうも語っている。

『人は有名になるためにアイディアを知りたがってる。象徴的なバイクビルダーとして。でも、僕らは僕らのバイクが日の目を見てくれればいいんだ。僕らが誰であるかではなくてね。だから僕らは裏方だよ』

― Nicholas Bech

彼らのこのようなスタンスは北欧独特の社会通念であるJantelovenを元に形成されている。個人よりも地域(周囲)を優先するという考え方がDNAに刻まれているからこそ、独特のスタイルが出来上がったのだろう。

『僕を見てっ!』と言う様な過度な装飾が施されたカスタムには興味がないようだ。

みんなには僕らのバイクを美しいと思ってもらいたい。だけど、それを声高に主張することはしない。いいかい、注目を集めることはトラブルのもとにもなるんだ。もしみんなが常に君に注目していたらどうだろう。君の自由はなくなるよね。もし君のバイクがブリンブリンでピンクのタンクだったら、警察に目を付けられるだろうね。もっと注意してライドしないといけなくなる。合法的なバイクじゃなくちゃいけないし。ダークナイトのようにしていれば、闇に紛れて消えていくことができるよね。

― Per Nielsen

ギラギラしたスタイルは簡単すぎる。タンクを明るいカラーにペイントすれば、バイクの見た目を変えられる。だけどそりゃまやかしだよ。思うに微妙な変化で何かスペシャルな雰囲気を演出することはチャレンジだよ。僕らのバイクは突き抜けてるわけじゃないけど。確かに他とは違う。

― Nicholas Bech

そんなポリシーがあるからこそ素材にもこだわっている。クローム素材を使うことは好まないようだ。余計な装飾を施すことで車両全体の調和を乱すようなパーツ・素材は使わない。メタリックな素材は剥離をしさらにサンドブラストそしてペイントを行い車両全体のハーモニーを仕上げていく。そんな理由からブラス素材のエイジングやたたずまいが車両の温度を感じれるようになる事から好んで使用しているようだ。

車両を製作するこういったポリシーはパーツ製作にも色濃く反映されている。特にCNCパーツ(コンピューター制御によって製造されたパーツ)についてこだわりがある。彼らにとってCNCパーツは完璧すぎるようだ。温度が感じられないということだろう。彼らの大切にしている車両全体の調和(ハーモニー)を崩してしまうと考えている。しかし、CNCパーツ自体を否定しているわけではない。彼らの扱っているパーツの中にCNCで製作されたものもあるが、製作後に手間をかけて彼らの大切にしている『温度を感じる』様にして販売をしている。

そういったこだわりが詰まった車両だからこそ、彼らのポリシーがオーラとなり車両全体を包み込み世界中でファンをつかんでいるのだろう。

最後に彼らはヨーロッパヤマハの『Yard Build』プロジェクトについて言及している。

ヤマハのこの試みはカスタム業界にとってとても面白い試みだと感じている。このプロジェクトに関しては改めて紹介をさせていただきたい。


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